ミニシナリオの作り方

TRPGサーバー 「Sandbox」 Advent Calendar 2019 の寄稿記事です。
https://adventar.org/calendars/3873

楽しそうな企画に参加したい!と、思いつつ、冬コミ支度で新規文章作成の時間が足りなかったので、以前寄稿した同人誌の自作記事を持ってきました。

以下は『2017年TRPGシナリオ作成大全 Vol. 8』に寄稿した記事を再編集したものです。

システムはウタカゼを使用した解説になっていますが、基本の考え方はどのシステムにも共通するものかなと思います。

まず、私は初めのころ、長いシナリオの作り方がまったくわかりませんでした。

でも、短い話ならまとめることができたことと、知人の中で短時間のセッションにできる、シナリオの需要があったので、ミニシナリオ作成に着手しました。
今回は、例も出しながら、当時活用していた自分なりのやり方を、まとめてみました。


【ミニシナリオ作成の手順】
1.書きたい題材、テーマの決定
 ミニシナリオ作成ならば、身近に起きた事を素材に使うと、シンプルなシナリオが創りやすくなります。
今回のコンセプトは30~60分でセッションが終わるミニシナリオなので、 書きたいものが広がりすぎないように意識して題材を絞っていきます。
〈アイデアメモ〉
・お酒でへべれけになった父親が悪しきものになって何かあるやつ書こうかな。
・困っている子供を助けるウタカゼが見たい。

2.クライマックスの作成
 これはオープニングより先に、書き込むことをお勧めします。
 テーマをクライマックスに盛り込むと、そこに至る前後が、書きやすくなります。
 着地点を決めてから書きはじめるのと、そうでないものは、制作時間に雲泥の差が生じます。これはどの創作にも言えることですが、終着点が見えないまま書きはじめると、途中でシナリオ作成そのものが詰みます。

〈アイデアメモ〉
・父が元に戻ったら自分の弱音を吐きながら、子供に謝罪してくれるとか良いな。

3.エンディング作成
 エンディングはシナリオの最後の部分ですが、こちらもオープニングより先に作成します。
 〈アイデアメモ〉
・父と子が元の鞘に収まってほしいな。
・ウタカゼ達にもう飲むのをやめたお酒をプレゼントしちゃおうか。

4.クライマックスの直前を決める
〈アイデアメモ〉
・父が悪しきものになった決定的な現場に出くわす、とかどうだろう。

5.振り返りながらバランス確認。
クライマックスに至るまでの経緯を作成していきます。
この時、全体で使う判定で【勇気】【知恵】【愛情】が偏らないようにして、どのPCで遊んでも楽しめるシナリオになるように意識してください。
 また、何かを判定するクエストは、あまり数が多いと、その分時間が伸びてしまうため、ミニシナリオでの判定回数は、全体で6回前後が良いです。
※蛇足となりますが、「ストーリーボード」を使用したシナリオでは、何かを判定している回数が、道中のクエストも含めて9~12回のものが多いようです。

〈アイデアメモ〉
・クライマックスで父に遭遇ってことは、それ以前は父を探していたってことにするのがいいかな?
・父が酔っぱらってなかなか家に帰ってこない、とかなら探すクエストで【知恵】【勇気】の判定がたくさん必要かな。これじゃ、【愛情】に数値振っている人が活躍できないな…。
・ラスボスの一番弱い能力値を【愛情】+〈歌〉にしよう。音痴な父でもいいなぁ。

6.オープニングの作成
 はじめに浮かんだオープニングが、合わなさそうだった場合はここで内容を変更してしまいます。
〈アイデアメモ〉
・そもそも母はどうしたんだろう?死んだ、とかだと悲しくなるから病気で半年以上龍樹にいることにしよう。

7.タイトル、推薦人数等を記入
  ここが決まればとりあえずシナリオの出来上がりとなります。

〈アイデアメモ〉
・タイトルはお酒に関する言葉で。
8.テストプレイの実施
 シナリオの完成度を高めるためにはテストプレイの実施が1番です。
 ウタカゼなら、ソロプレイによるテストプレイが手軽にできますが、ここでは、他の人がまわしても楽しんでもらえるシナリオ作成を意識しているので、自分以外の人も交えてテストプレイを行います。
テキストセッションならば、チャットログを見て、ボイスセッションなら、その場でメモ、または参加者全員の承諾を得た上でボイスレコーダーセッティングして、テストプレイを実施します。
セッション実施後にアドリブで追加したものや、使わなかった動きは無いか確認して、シナリオに手を加えていきます。
そしてテストプレイで足りなかった情報があれば、そこの修正をひたすら行います。

9.シナリオの最終確認
・ストーリーボードを見ながらクエスト数がストーリーボードと同数かそれ以下になっているか確認します。
・クエスト数が少なすぎたら増やして、逆にテンポが悪かったらクエストを削ります。
・自分以外の人にGMをやってもらうと、シナリオの完成度がわかりやすいです。

 今回、プロットは最後から書きだしていますが、本文はOPから書きだしています。
 書いているうちに浮かんだ案は、どんどん書きつつも、時間を少し置いて、そのアイデアがシナリオの道具としてどれくらい機能するか、チェックしてみてください。
後はトライ&エラーの繰り返し。
あとは自分が納得出来るまで修正したら、完成です!
完成したシナリオはTRPGシナリオ作成大全 Vol. 8のダウンロードページに載っているので、ぜひ見比べてみてください。
http://scenario.trpg.me/article/86

〈アイデアメモ〉で、使用しなかった案や、テストプレイして修正した箇所も載せたので、見比べてみてください。元々のアイデアをシナリオに反映させなかったり変更している箇所があると思います。
 思いついたネタでもシナリオ進行の妨げになるのであれば削除して、より良いアイデアが浮かんだらそちらに変更しています。
そして、実際に何度か遊んで、気になったらどんどんシナリオを変更して、自分が何度でもまわしたくなるシナリオをぜひ作ってください。

 

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